脅威インテリジェンスアナリスト ヴィクトリア・キヴィレヴィッチ
マーケティングコンテンツマネージャー シャロン・ビトン
2020年度の新学期の準備はこれまでとは異なり、世界中の生徒達は同級生とオンラインで再会するために準備を整えています。従来、新学期の準備といえば登校初日に向けてお洒落な文房具を購入したり、完璧な服を準備する等が挙げられますが、今学期の準備においては皆、家庭で快適にオンライン学習を行うための環境整備に投資しています。その一方で、新学期がリモート体制で始まることを受け、学校のIT担当者らは生徒や職員に対するサイバーセキュリティ教育を今年最大の関心事項として扱うとともに、教育機関を攻撃しようと狙うサイバー犯罪者らの脅威を阻止することに重点を置いています。
前回のブログ「教育セクターにおけるサイバー犯罪の増加」では、教育セクターの組織を狙う脅威アクターらの全体的な関心について調査するとともに、我々がアンダーグラウンドのエコシステムで確認した未遂の攻撃事例を数件取り上げました。また、教育機関を標的とする脅威のレベルについて、一般的な理解を確立するための重要なポイントにも言及しました。そして今回私達は、世界中の学校が授業を再開するに伴ってリスクが増加していることを受け、再びこのテーマを取り上げることにしました。
学校は、現在新型コロナウイルスの感染者数増加に対応するべく苦戦を強いられていますが、今度は新学期初日からリモート体制で使用するオンライン学習プラットフォームを、サイバー攻撃などの事件から守るべく戦わなければなりません。そして、まさにそういった状況を体現したともいえる事件が、フロリダ最大学区の公立学校で発生しました。犯人は16歳の学生であり、アンダーグラウンドの世界でいえば初心者レベルの脅威アクターです。年若い初心者レベルの脅威アクターが大規模な学校への攻撃を成功裏に治めたという今回の事件は、より洗練された経験豊富な脅威アクターも攻撃を計画し、実行に移す可能性があることを示唆しています。